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雑学講座82 2ピストンキャリパと4ピストンキャリパ


今回は、キャリパブレーキのピストン数(シリンダー数)(N)についてのお話しです。
自動車用キャリパでは、浮動型でN=1〜3個、対向型でN=2〜6個が普通です。何故このように Nは違っているのでしょうか。その理由を、2ピストンキャリパ(パッド1枚にN=1個)と 4ピストンキャリパ(パッド1枚にN=2個)を例にとってお話しましょう。
なお、浮動型と対向型のピストン数の違いについては、既に雑学講座でお話していますので 今回は省かせていただきます。浮動型は対向型の半分とみなしてください。

まずは、クルマへの装着性と効き(ブレーキ力F)の関係です。
Fは式で表すと F=k*r*S*N*P 
(ここでk=定数、r=制動半径、S=ピストン面積、N=ピストン数、P=ブレーキ圧力) のようになります。
軽・小型車では車重が軽いのでFも小さく、N=2で十分です。
大型車では車重が増えますのでFも大きく、つまりピストン面積S(ピストン径) を大きくする必要があります。ところが、装着スペースの制約によりむやみにピストン径 を大きくすることができませんので、ピストン径を小さく、ピストン数を増やして 対応しています。


4ピストンのキャリパー

更に車重が増えるトラックでは、Nを増やすのみならず、ブレーキ圧力Pを高くし (高液圧システム)、1車輪に2個のブレーキを装着したりして対応しています。 (参考)1輪あたりの荷重が1桁も重い飛行機ではNを数個〜10個に増やすのみならず、 ローターも数枚〜10数枚に増やして、効きをアップした浮動型全面多板ディスク ブレーキが使用されています。

次はパッドの寿命です。パッドの摩耗は、スピードが速いほど、車重が重いほど多 くなりますので、スポーツ車・大型車、トラックはパッド面積 (パッド半径方向寸法*円周方向寸法)を大きくする必要があります。
ところが、ホイール内スペースの制約から半径方向寸法はそんなに 大きくできませんので、円周方向寸法を大きくするしか手がありません。 つまりパッドは、より長方形になってしまいますので、ピストン数の多い キャリパの方が適しているということになります。

次は、パッド押圧分布の均一性です。パッドは、ピストンによってローターに 押し付けられていますが、パッド表面を細かく分割して見ると必ずしも 全ての個所が同じ力で押されているとは限りません(押圧分布)。
ピストン押圧点、キャリパ撓み、パッド撓み・偏摩耗などの様々な 要因により、あるところは強く、あるところは軽く押されています。 この押圧分布が不均一になりすぎると、ジャダー、フェード、鳴き、 ローターのヒートスポット・異常摩耗・亀裂、パッドの偏摩耗などの 要因となります。つまりパッドが長方形になるほど、押圧分布を均一 にするためにNも増やす必要があるわけです。
最後は、見栄えです。一般にはピストン数の多いほうが高級、高性能と みなされるようです。高級2輪車ではN=6のキャリパも珍しくなくなって きました。

以上のように、4ピストンキャリパは、2ピストンキャリパに比べて性能面 ではメリットは多いのですが、キャリパのコストアップ、マスタシリンダ ・倍力装置など他ブレーキ部品の変更を伴うため、その使用範囲はスポーツ車、 大型車、トラックなどに限定されるようです。


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