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パッドの点検 その2

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パッドの点検 その2


次はライニング表面の傷(図3)です。砂利、ライニング付着物、ロータ付着物等の硬い 物質(詳細は下記)がライニング、ロータ表面を削るためです。サーキット走行、悪路走行 等を行うと発生しやすくなります。小さな傷ですとペーパ掛けをすれば再使用可能です。

次は、表面の付着物です。ライニングとロータの接触面では「摩耗粉発生→摩耗粉付着→ 摩耗粉除去」(SEMINAR24摩耗境界面の話)を繰り返しています。通常の使い方では摩耗粉はライニング、ロータ表面にはほとんど付着せず外部に排出されますので、ライニング、ロータの表面はテカテカと輝いています。
ところが、高温になると、摩耗粉は熔融し、ライニング、ロータ表面に付着しやすくなります。この付着物(メタル系パッドに多く使われている金属繊維が主成分)が効き不良、パッド異常摩耗、鳴き、ライニング、ロータ傷等の原因となります。一度、付着してしまいますと、通常走行ではなかなか取り去ることができませんので、サンドペーパで取り去るのが一番よいでしょう。

次は、表面の変色・変質です。サーキット走行をしますと、表面が炭のように白ずんだり、すかすかの状態になることがあります。これは高熱のため、変色・変質したためで、本来のパッド性能は得られません。なお、金属繊維を使用したパッドは熱を伝えやすいため、未使用パッド(例アドヴィックス SPORTS SS)に比べて、どうしても変色・変質層は厚くなりがちです。この変色・変質層が1mm以下の場合は、表面を削除・研磨し新しい面を出せば再使用も可能です。

次は、パッドを横から見てみましょう。ライニングと裏板の間に隙間(図4)がありませんか?ライニングと裏板は高温・高圧下で接着剤により貼り合わされています。この接着剤は通常の使い方ではほとんど劣化しませんが、高温に長時間曝されると劣化してきます。その結果、裏板とライニングの間に小さな隙間ができます。これがどんどん大きくなると最悪の場合ライニングが裏板より剥離、脱落することがあります。隙間が全周の10%以上ある場合は交換しましょう。


また、裏板横面に錆があるかどうかも点検しましょう。錆がひどい場合は、ペーパで錆を落とし、専用グリース(鳴き止め、錆止め用)を塗布しましょう。

最後はパッドの厚さです。走行距離を確認し、寿命がHPのMAINTENANCEの目安(例:乗用車の場合、ノーマルパッドで4~5万km)より極端に短いようでしたら、使用環境、使用方法、ブレーキ作動不良等の原因が考えられます。
また1枚のなかでも場所によって厚さが極端に違っている(偏摩耗といいます)場合があります。厚みの差が2mm以下だと問題がありませんが、それ以上になると引き摺り、鳴き、片効き、あるいはパッド異常摩耗等の問題が生じる可能性があります。ブレーキの作動不良、アライメント不良等が原因です。

さらに、前輪4枚(または後輪4枚)の間の不均一摩耗も点検しましょう。内・外パッド間、左右輪間で2mm以上の不均一摩耗がある場合は、ブレーキの作動不良が主原因です。余談ですが、海沿い地方ではロータの外側が海水で錆びてしまうため外側パッドの摩耗が早くなるという話を聞いたことがあります。
なお点検時にライニング厚さが5mm以下の場合は、交換をお勧めします。



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