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雑学講座85 走行時のローター温度 その2


今回は、乗り方によって、Vローター温度とSローター温度がどのように変化するかについてのお話しです。
先ずは街乗り(図1)です。
乗り方は低・中速、ブレーキ頻度は中程度、緩ブレーキとします。 Vローター、Sローターとも、単位時間の制動エネルギーeは小さいので、制動上昇温度は小さく 両者はほとんど差がありません。また冷却も低速のため対流冷却にも差はありません。 その結果、両者ともローター温度は50〜100℃間で安定し、差もほとんどありません。


次は降坂(図2)です。乗り方は低・中速、ブレーキ頻度は多く、緩ブレーキとします。 単位時間の制動エネルギーeはかなり大きくなります。Vローターは、降坂初期は熱容量が 小さいため温度は急激に上昇しますが、ローターが高温になるに従って対流冷却が大きく なり一定温度(到達最高温度)に落ち着きます。一方Sローターは、熱容量が大きいため 降坂初期の温度上昇は緩やかですが、対流冷却は小さいままですので最終的には到達 最高温度は高くなります。つまりVローターはSローターと比べて、到達最高温度は 短時間降坂(図のt以下)では高く、長時間降坂では低くなります。
なお車速、ブレーキ頻繁などの乗り方が違うと当然ながら時間t、最高到達温度レベルも 違ってきます。


最後はサーキットです。図3は制動から次の制動までの1サイクルを示しています。 急ブレーキのため制動中の単位時間の制動エネルギーeは非常に大きいのですが、非制動(冷却) 時間も十分にあるという条件です。Vローターは熱容量が小さいため制動時の上昇温度は高く なりますが、その後の高速走行による対流冷却が大きいため、次の制動初期温度(Ti)は低く 押さえられます。その結果、安定した効きが得られます(図A)。しかしながら非制動時間が短く 冷却が不十分だとTiが高く、制動時の到達最高温度(Tm)も高くなり(図B)、性能が不安定( フェードなど)になりやすくなります。


以上のように、VローターはSローターと比べて、あらゆる条件でローター温度が低く、安定した 性能が得られるというものでもありません。道路、車種、制動頻度などによっては、温度が 高くなり、性能が不安定になることもあります。パッドの性能を十分に引き出すためには、 タイヤのようにその都度最適なローターに換えられれば良いのですが、実際はそうもいきません。 そこで一般的には単位時間の制動エネルギーeの大きい大型車・スポーツ車にはVローター、 単位時間の制動エネルギーeの小さい軽自動車・小型乗用車リアにはSローターを使うように しています。またVローターは厚さをできる限り厚くして熱容量をSローターに近づけること も行っています。


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