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電車のブレーキ11 「列車方式とブレーキ3」

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電車のブレーキ11 「列車方式とブレーキ3」

最後は、ブレーキ仕様の違いです。

電車方式では、常用時、M車は高速からはモーターを使用した電気回生ブレーキ、 極低速からは、機械式のディスクブレーキ(DB)を使用します。
ブレーキの負担割合は90%以上が電気回生ですので、DBは2個/車軸(8個/車両)となっています。 T車はモーターがありませんので、DBあるいはDB+渦電流ブレーキとなっています。
高速から低速まで100%受け持ちますので、数量が多いのは勿論のことパッドも厚 くして寿命を確保しています。

余談ですが、DBの負担割合がいつも10%以下ですと、キャリパ、パッド、ローターなどは自動車用 の大きさで十分です。しかし電力回生が効かない非常時は、DBで100%負担する必要があります ので実際は自動車用より1桁大きい寸法、重量となっています。
渦電流ブレーキはローターに渦電流を生じることにより運動エネルギーを熱エネルギーに 変換していますので電力回生は出来ません。
渦電流ブレーキはバス、トラックのリターダにも使用されています。

機関車方式(フランスTGV)では、M車はモーターとDBの組み合わせです。常用時は電力回生ブレーキ が主体です。但し、電力回生が使えない区間では発電ブレーキを使用しています。(*)
一方、T車では、4個/車軸(16個/車両)とまるでトラックのダブルタイヤと同じです。
一台あたりのブレーキ負荷は非常に大きくなっています。そのため、ローター寸法、パッド厚などが電車方式 に比べて相当大きめになっています。

列車編成は、各国の地理、歴史、人口密度、運用方法などにより違っています。 それに伴ってブレーキも違っていることがおわかりいただけたと思います。


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注)日本でも、電力回生/発電ブレーキ併用方式は在来特急にも使用されています。
さらに、電力回生率をアップするため、ブレーキをかけたときに生じる電力を蓄える設備を設置し、 消費電力がピークとなるラッシュ時などに再利用することも研究が進められているようです。


TGVのT車の車軸はブレーキだらけ

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