ブレーキ雑学講座
自動車教習編 その1
読者からのお便りで、この雑学講座がやや専門的に偏っているとの
ご指摘もあります。ブレーキ専門のHPですから、それもやむ終えませんが、
たまには、ブレーキの基本的なことをお話するのも、ブレーキ総合?
(←言いすぎ)雑学講座としては必要かも知れません。 ということで、これから2回に分けて、一般走行時(サーキット走行ではありません) のブレーキの基本的な使い方について教習所に通っていた頃を思い出しながら、 お話をして行きましょう。 俺は、プロフェッショナルだから今回はパスとはおっしゃらずに! 1.坂道を下るときは、エンジンブレーキを! 長い坂道を下るときは、エンジンブレーキを使用が原則です。 フットブレーキのみでは、フェードにつながりブレーキの効きが甘くなります。 最悪、ベーパロックとなりブレーキが効かなくなります。 かつて筆者も苦い経験をしたことがあります。日光観光の帰り、 いろは坂の下り始めから渋滞が発生していました。このとき、標高差約1000mを殆ど フットブレーキで降りたときのことです。前の車との距離が2~5m程度しかないため、 エンジンブレーキは、使わず終い。麓まであと100mくらいのところで ブレーキが効かない状態になってしまい、あわや前の高級車に接触か! というところで、とっさにハンドブレーキを引き、かろうじて止ることができました。 全く冷汗ものでした。 |
この例で分るとおり、フェードが発生すると、踏み代が大きくなってしまい、
極端にブレーキの効きが悪化してしまいます。
いくら負荷が小さいように見えても、またどんなにスピードが遅くてもブレーキを
冷すタイミングがないと温度はどんどん上がっていくものです。休みを与えねば
なりません。(酒飲みの「休肝日」と一緒です。) 万が一、このような兆候-すなわち踏み代が増えたり、においや煙が出ていることに 気づいたら、シフトダウンすること。それでもだめなら、思いきって路肩に停車し、 ブレーキを冷しましょう。 但し、ディスクブレーキの場合、車を止めると風による冷却効果が落ちるので 20~30分程度停車したままにすることも大事だと思います。 (尚、アルミホイールは熱伝導性が高いので、単に見栄えだけでなく、ブレーキ冷却 効果の点で優れています。) 勿論、この後の走りはじめには、再度ブレーキの効きを確認することは言うまでもありません。 とは言っても、何事も経験してみないことには身に付きませんよね。 |
2.ブレーキは早めに! 停止距離は、速度の二乗に比例するということを覚えていますか? すなわち、50km/hからのブレーキでは20mで止るのに、100km/hでは、 80mもの停止距離になると言うことですね。通常走行より、反応が遅れがちな高速道路 や夜間時の運転、またブレーキ距離が延びてしまう降雨時には、早めのブレーキが肝心です。 普段より2、3秒は早めに踏む心がけが必要です。また大勢人を乗せているときも同様です。 ブレーキングが遅れるとつい、急ブレーキになってしまい停止寸前の「カックンブレーキ」 にもつながります。(ヘタをすると後ろの車に追突される可能性もあります。) この「カックンブレーキ」は、クルマが無理に止められるため タイヤの摩耗が大きくなるし、足周りのメカにも負担が大きい訳です。 つまりクルマの老化を促進する訳です。パッドの減りも早いヨ(^^) (話しが少しずれますが、荒い運転を繰返す人のクルマは、サスペンション も相当ヘタッテいます。) これを避けるには、早めのブレーキを心がけるとともに、 止る寸前に、一度、力を抜き、少しだけ惰性で走らせた後、 フィニッシュでもう一度、ブレーキを踏めば良いでしょう。 隣に座るうるさい教官じゃなくて、寝ているこわい奥さんを起さないような やさしい運転を心がけることが肝要ですね。 |