ブレーキ雑学講座
ABS入門 その1 どんな役目?
どんな役目?
先程、東京モーターショウが終りましたが、特別にABS(Anti-lock Braking Systemの略)
の紹介を行っているブースはありませんでした。
弊社も90年代前半までは、モーターショウで、ABSの機能紹介をPRしていた
ものですが。
98年の自動車工業会調べでは、既にABS装着車の割合は、72.1%。
乗用車では、ほとんどの車種で標準装備またはオプション設定
されています。

その「普通の部品」となったABSについて、もう一度原点に戻って その基本的な原理、しくみについて数回に分けてお話をしてみましょう。
ABSの効果
ABSは、横滑り防止装置といわれますが、その名の通り、滑りやすい路面で の急ブレーキング時、タイヤがロックしないように制動力をコントロールするシステムです。
すなわち、雪道や雨の日の滑りやすい路面状況でブレーキをかけたり、旋回中に
急ブレーキをかけると、ABS非装着車では、下図のように車両安定性を失うだけでなく、
ハンドル操作不能となってスピンを起してしまいます。
これに対し、ABS装着車は走行状態および路面状態に応じてブレーキ力が制御されて、非
装着車と比べ、より高い操舵性(ハンドルを切った方向へ車を向ける性能)、方向性が得られ、
多くの場合、制動距離も短くなります。

豆知識
このABSについては、実は自動車以外では、ずいぶん昔から実用化されているんですヨ。
飛行機では、1960年代には、既に一般的になっていました。
新幹線でも1970年代から、滑走防止制御装置という名で使用されています。
どちらも、大量輸送機関で大勢の人命を預るわけですから、コストはさておき、早くから実用化されてきたわけです。
日本のような短い滑走路の上でも止るためには、停止距離を短くすることが必須条件でしょう。
車の場合は、停止距離を短くすることよりも、むしろハンドル操作で危険回避が出来ることの方が、アクティブセイフティの主役として重要かも知れません。
それにしても、ABSの装着車に馴れてしまえば、非装着車には、もう
怖くて、乗れませんよネ。