ブレーキ雑学講座
摩擦境界面の話
なにやら、いきなり摩擦の本質的な話しに入ってきました。 (高校の物理の時間に出てきそう) でも、意外とタイトルのような質問は、多いんです。 摩擦があれば、そこには摩耗があります。摩耗があるから、そこには 摩擦が発生しているといっても過言ではありません。 ここで、摩耗の種類をお話しましょう。 大きく分けて、ころがり摩耗とすべり摩耗があります。 すべり摩耗には、「凝着摩耗」と「アブレーシブ摩耗」、「疲労摩擦」等があります。 「凝着摩耗」とは、接触している面が摩耗によって煎断(せんだん)され、ひきちぎられて いくタイプです。鉛筆と紙の関係がこれで、鉛筆の芯が削れ、紙にくっついて いきます。まさに読んで字のごとし、くっついていきます。 これに対し、消しゴムは、紙の表面を削りつつ、自身も削れていきます。 これを、「アブレーシブ摩耗」といい、接触する個体間に堅い異物が入り込み、 柔らかい面は堅い面に削り込まれていきます。 では、ローターとパッドの関係はどちらなのでしょうか? 答は、両方をミックスしたものです。 では、実際にパッドとディスクとの間にどんな現象がおきているかを 高速写真で観察してみましょう。 概略次のような状態を繰返しているのがわかります。 ①まず、パッドとローターが当りますと、ローター表面はパッドの摩耗粉が 付着します。この時、摩耗粉は熱と圧力で粘っこくなっておりローターの 表面に皮膜(1ミクロン以下)となっています。 ②ローターが回転するにしたがい、この厚みが増します。 ③ある程度、回転すると、今度はパッドに含まれている成分で、この皮膜を 削り落します。 つまり、ローター表面には、非常に薄い皮膜が発生したり、とれたりを繰返して いる訳です。この皮膜は、摩擦係数を一定にしたり、ローターとパッドの摩耗を 防ぐ働きがあります。 |