ブレーキ雑学講座
ブレーキ進化の歴史
ブレーキ装置から車両システムへの融合
いきなり、大げさなタイトルで始りましたが、ディスクブレーキが自動車の世界に登場して、まもなく半世紀を迎えようとしています。ここでは、ブレーキ発展の歴史を少しだけ振り返ってみましょう。
デビューは衝撃的でした。そもそも航空機に用いられていたものを1950年代にはじめ英国ダンロップが自動車用に仕立ててジャガーのレーシングカーに使用したところ連戦連勝したのです。ブレーキをぎりぎりまで使わずに走れるからです。この名声がディスクブレーキ装着の大きなきっかけとなりました。
それから約10年、日本でもいすゞベレット、プリンスのスカイラインGTにディスクブレーキが初装着され以降、ほとんどのクルマの標準になりました。
その後、重要保安装置として、ブレーキは絶え間なく発展しています。
65年には、エンジンの負圧を利用してブレーキ力を増大させる
ブレーキ倍力装置、1967年には、急制動時の後輪の尻振り現象を防止する液圧
制御バルブが開発されました。また雑学のフェールセーフの項で
触れたブレーキが一系統失陥した時の対応機能も付加されたのもこの頃です。
1950年代 | 1960年代 | 1970年代 | 1980年代 | 1990~現在 |
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ABSが登場するのは、80年代に入ってからです。既に航空機や鉄道では使用
されていましたが、クルマへの適用はサイズ、コスト面から意外と遅れていました。
当初は機械式制御でしたが、あっという間に電子制御が主流となりました。
現在では、大半のクルマについている標準システムになりました。
同じ頃、通風孔のついたベンチレーテッドローターが商品化され、
放熱性に大きな効果を上げています。今ではフロントブレーキに
は大半このタイプが使用されています。
87年にはABSで培った技術を生かし、発進時の空転を抑えるTCS(トラクション
コントロールシステム)も登場しました。
90年代に入ると、ブレーキ機能にととまらず、ブレーキアシスト装置、
自動運転姿勢制御装置(ASC)、オートクルーズコントロール、
タイヤ空気圧低下警報装置と、クルマ全体を安全制御するシステムとの融合と
発展してきたのは、皆さんよく後存知の通りです。
それにしても今でこそ実に色んなサポート機能がある訳ですが、
昔の人はよく安心して運転出来たものですネ。「知らぬが仏」なのかなと(-_-;)