ブレーキ雑学講座
ディスクローター その1
ブレーキ力はディスクローターとパッドが摩擦することにより発生します。
従ってパッドの選定も大事ですが、相手ローターの選定も大事です。
そのローターの形状、材質について数回にわけてお話ししましょう。
ローターの主な働きは、パッドと摩擦することによりブレーキ力を発生させ、
車の運動エネルギーを熱に替えることです。また鳴きの少ないことも重要ですね。
まず、今回は、ローターの形状です。
重量の大きな車、高速車は一回の制動で生ずる運動エネルギーが大きくなります。また降坂とか繰
り返し制動でも発生運動エネルギーが大きくなります。この運動エネルギーが熱となってローター
の温度を上げます。
ローター表面温度が800℃以上になるとフェード
(雑学講座-1参照)を起こしたり、
パッド摩耗が大きくなったり、ローター表面にクラックが入ったり、最悪時にはローターの破損に
つながります。そこでこの最高温度を抑える必要があります。そのため、上記のような車には外径
を大きく、厚さも厚いローターが必要です。
またブレーキ負荷の大きいフロント用には、ローターを冷やすため、通風孔(ベンチレーテッド)
付ローターが一般的です。
話が少しそれますが、見栄えのいいアルミホイール、あれも風の通りをよくすることで、ローター
温度を下げることで、ブレーキ性能アップに一役貢献している訳です。
ローター温度を抑えるためではありませんが、パッド摺動面にスリットやドリル孔を開けたものもあります。
これはパッドの摩耗粉の除去あるいは水切をよくし、効きを安定させたりウォータフェード
水が表面につくと効きが落ちる現象)を防止するためです。
ただし、いいところばかりではありません。
特にドリル孔は、ローターの温度が不均一になりやすく、ジャダー(雑学講座11参照)の原因にも
なりますので、むやみに穴をあけないようにしましょう。