ブレーキ雑学講座
「摺り合せ」と「焼き入れ」 その2
次に「焼き入れ」です。
これはサーキットなどのハードな使い方をする場合、前もってパッドを高温にして、材質を一部(表面近くを)変質させることにより、フェード(雑学講座その1を参照ください)を防ぐ目的で行なうものです。
街乗りを主とするユーザーは必要ありません。どうしても必要な場合のみにしてください。また「焼きを入れる」場合は専門家に相談しましょう。
パッドには、約10数種類の原料を結合するために、接合材としてレジンが使われています。このレジンは250℃以上になると、分解してガスを発生します。このガスが、パッドの表面に溜まり、効きを大幅に落としてしまいます。
また、材質自体も高温で変質*1するため、摩擦係数が低くなります。そこで事前に、表面近くの材質を高温で変質させておくわけです。具体的に、「焼きを入れる」方法は、なかなかむずかしく、一概にはいえませんが、「高速、高減速度で繰り返し制動、サーキットでパッド温度300℃以上」が目安です(車種、パッド材質,走行パターンなどにより「焼きを入れる」目標値は大幅に違ってきます)。
なお、焼きを入れすぎると、パッド寿命が短くなったり、変質層が厚くなりすぎて、かえって効かなくなったりすることもありますので、くれぐれも注意して行なってください。また決して、一般道では行わないようにしてください。
注1:パッド表面と内部では、温度が大幅に違いますので、表面温度が高いからといって、内部まで変質しているわけではありません。ハードな使い方をした後は「慣らし」を十分に行なえば新しい表面が出てきて元のように使えます。
注2:ノーマル(純正,優良)パッドで出荷段階から表面に「焼きを入れた」ものがあります。表面が若干黒くなっているので直ぐにわかります。これはフェード防止以外に「慣らし」を早くし、鳴き低減、効きアップを目的としたものです。
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