ブレーキ雑学講座
パッドの寿命 その2
(前号からの続き)
一般走行では、街乗り、高速道路、山道など織り交ぜて使いますので、その割合も考慮する必要
があります。寿命の推定はより難しくなりますね。
一般的には、厳しいブレーキング(山道走行など)が多いほど、車重が重いほど(ブレーキ
サイズは車重が重くなるほど大きくないため)パッド寿命は短くなると覚えておいてください。
【減りのオンパレード】
すぐ近くが海(ローターが錆びやすい)で、 車重の重いクルマに乗って、坂道で、あまり エンジンブレーキを使わないとなれば、減りの 速さの原因が全て揃っています。 |
なお、いままで説明した寿命(走行距離)は、パッドを摩耗限度まで(摩擦材の厚さが2mm、2層パッドの場合3~5mm)
使用した場合の数字です。実際の交換は、これより早めにしましょう。具体的には、小型乗用車
で3万km、スポーティー車で2万km、RV車で1.5万kmで、パッドの摩擦材の厚さをチェックし、
5mm以下であれば交換をお奨めします(メンテナンスのコーナーを参照ください)。
また、パッドは厚みが薄くなるにつれ、摩耗速度が速くなります。厚みが薄くなると断熱効果も小さくなり、
パッド温度の増加で摩耗が促進されるからです。まだ半分残っているから、いままでと同じ走行距離分大丈夫
だということにはなりません。
以下は、寿命に影響をおよぼす注意点をまとめました。
・ローターは錆びないようにしましょう。錆びが研磨剤の役目をします。 |
・ローターの傷を見つけたら、研磨あるいは交換を行いましょう。 |
・急制動は、パッド温度が上がりやすくなりますのでやめましょう。 |
・坂道ではエンジンブレーキを使いましょう。フェードの防止にもなります。 |
・ブレーキの点検を十分に行いましょう。 (作動不良はパッドの引き摺り摩耗につながります。) |
次は、賞味期間についてです。(これも、寿命の一種ですね。)
パッドは、バックプレート(通常は鉄)とライニング(摩擦材部分)を接着剤で接着しています。
ライニングは、金属繊維、化学繊維、金属材料、無機材料、化学材料などを温度と圧力を
加えて押し固めたものです(雑学講座22「パッド製造のあらまし」)。
これからわかるように、パッドは熱、水、泥などが加わると、錆びたり(裏板、ライニングに
使われている金属材料など)、変質(ライニング、接着剤)したりして劣化し、場合によっては性能
を十分に発揮できないことがあります。
車に装着された状態では、摩耗限度以上の厚みがあっても、一般的には5年位で交換されるほう
が安全でしょう。勿論、錆び、変質、摩耗状況、傷・汚れなどを点検して大丈夫な場合は継
続使用も可能です。
なお、保管されたままのパッドは、よほど保管状態が悪くなければ、使用は可能です。表面など
が汚れたり、油が付着している場合は、表面を紙ヤスリでサーと落してから使ってください。