AISIN GROUP

株式会社アドヴィックスセールス

MENUCLOSE

ブレーキ雑学講座

TOP> サポート情報 > ブレーキ雑学講座>

雪道とブレーキ

ブレーキ雑学講座一覧に戻る

雪道とブレーキ

筆者が住んでいる地域では、雪が降るのは一年に数日でしょうか。そんな日は 「大多数の人は雪に慣れてないためトラブル続出、従って自分だけが上手く走 れるわけはない。雪が解けるまで出勤は見合わせよう。」と勝手に決め込んでいます。 その昔、ABSの試験で北海道に行った際、タクシーがスパイク付タイヤにチェーンを巻き、 お尻を振りながらも、高速で雪を巻き上げながら走っているのを見て、さすが北海道の 人は慣れたものだと感心したことを思い出しました。

今回は、雪道(寒冷地)とブレーキについてのお話しです。
雪道といっても、新雪路面、圧雪路面、凍結(アイスバーン)路面、わだち路、まだら 模様など、場所により、時間によりさまざまです。ご承知のように、ブレーキ力(駆動力 も同じですが)は、路面とタイヤ間で得られる粘着力(摩擦係数に比例)から得られ ます。

この摩擦係数は、路面の状態に依存し、アイスバーンの0.1、雪道の0.3あるい は乾燥路の0.9と大幅に変わってきます。また、タイヤのトレッド、材質などによって も違ってきます。しかも、まだら模様の路面では、4つのタイヤに各々違った粘着力が 生じるのですから、車は前後左右に振られて不安定になります。このような路面 で、安全・最適なブレーキングを行うのは、普通の人にとっては至難の業です。

そこで、登場したのがABSです。これはブレーキング時の停止距離短縮、車両安定性、 操縦安定性を狙ったもので、近年は、ほぼ100%標準装着となりました。しかしながら ABSは、極低速、アイスバーンなどでは停止距離が伸びたりすることもありますので 必ずしも万能ではありません。過信は禁物です。



次に寒さとの関係です。北海道では、-20~30℃になることもよくあります。 では、ブレーキは低温ではどのようになっているのでしょうか。
先ずはパッドの性能ですが、一番問題になるのは朝一番のブレーキングです。 ローター、パッドとも冷え込んでいますので、摩擦係数が常温に比べて著しく低下しブレーキの効きが落ちることがあります。特に金属繊維を多く使っているパッドはその傾向が大きくなります(またまた宣伝ですが、弊社の「アドヴィックススポーツパッドSS」は金属繊維を使っていませんので、低温でも摩擦係数はほとんど落ちません)。
従って、そのような時は、低速で軽く10回くらいブレーキングしましょう。ローター、パッドの温度が上がりますので、常温と同じ効きが得られます。

次に極低温では、ブレーキ液の粘度が上がり(ねばねばになる)、ブレーキ圧力の伝達速度が遅くなり、効き遅れが生じることです。-20℃以下になると要注意です。なお、-60℃にもなるシベリアでは、特殊ブレーキ液とそれに合ったゴムシールが使われています。
また、付着した雪、泥などがブレーキや駐車ブレーキのワイヤ部で氷結し作動不良になることもたまにはあるようです。カナダでは、それを防ぐため車庫にはヒータが備え付けてあるそうです。

また、路面の凍結を防ぐため、凍結防止剤が撒かれていますが、これはローター、ブレーキキャリパ、パッド(特にメタリック系)を錆びさせ、作動不良や性能不良の原因になります。定期的に水洗いされることをお勧めします。  


ブレーキ雑学講座一覧に戻る