ブレーキ雑学講座
雨の中のブレーキング
大雨の中で運転するのは大変です。前は見えない、道路は水浸し、前の車からの水しぶきと
難問山積です。大量の水によってブレーキはどのように変わるのでしょうか。
先ずは、路面とタイヤ間の変化です。乾いた路面では、タイヤは路面をしっかりグリップしており、
ほとんどの場合、思い通りのブレーキ力が得られます。
ところが、路面に水が溜まると、タイヤと路面の間に水が入り、薄い水膜を作ります。
この水膜は一般的には、速度が早いほど、タイヤが摩耗しているほどできやすくなります。
いわゆる、「ハイドロプレーニング現象」です。
この結果、路面とタイヤ間の粘着係数は、乾いた路面の約1/2以下にまで落ちてしまい、急ブレーキ
を踏んでも効かない、タイヤがロックする、クルマがフラフラするという状態になってしまいます。
また、ローターとパッドの隙間に水が入り込んで水膜を作ることがあります。
これを、「ウオーターフェード現象」と言います。
高速道路などでは、ノーブレーキでの走行が続くため、水切りがされないので、水浸し状態
になりがちです。この表面の水膜のため、ローターとパッドが滑ってしまい、大幅に効きが低下します。
さらに、雨中の長時間運転とか、水没路面を走った場合は、パッドの中に水が染み込みます
(パッドは発生した分解ガスを逃がすため結構穴だらけにしています)。
その結果、効きが低下したり、片効きになったり、グーといういやなブレーキ音がするときも
あります。
では、雨中では、どのような運転すればよいのでしょうか。
先ずは、スピードを落とすことです。
速度を1/2に落とせば、停止距離は約1/2ですみます(乾いた路面なら約1/4になります)。
また、時々軽くブレーキをかけることも良いでしょう。ローターとパッド間にできた水膜
を取ったり、隙間を一定にしたりするとともに、後続車に注意を喚起することにもなります。
パッドがずぶ濡れになった時は、低速から10回くらいブレーキをかけて乾かしましょう。