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ブレーキ液の点検と交換

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ブレーキ液の点検と交換


「ブレーキ液(BF=Brake Fluid)を交換してもペダルストロークが相変わらず長い」、 「BFの交換タイミングはどのようにして判断するの?」というようなBFの点検・交換に 関する御質問がよくあります。
今回はBFの点検・交換についてのお話です。

先ずは、BFの役目をおさらいしておきましょう。
雑学講座23「ブレーキフルード」でお話しましたように、 BFの役目は、マスターシリンダで発生した圧力をパイプ、ホースを通じて素早く、効率よくブレーキ に伝えることでした。ところがBF、ブレーキ部品は時間とともに劣化していきますので、いずれ 交換の必要が出てくるわけです。

では、BF劣化のメカニズムについてお話しましょう。
最初は熱の影響です。BFの温度ですが、街乗りでは50℃ 以下ですが、極寒地では-40℃、降坂走行ではパッドとの接触部近辺は120℃を超える高温に なることもあります。BFは高温に長期間さらされますと、BF自体の劣化は勿論のこと、BFと接して いるキャリパ、ピストン、パイプなどの金属部品を腐食させ、カップ、シール、ホースなどのゴム 部品を膨潤させます。これらは表面荒れ、カップ、シールの破損へとつながり、ついには液漏れ、 ブレーキ効き不良の遠因となります。

次は、水の影響です。水がBFへ混入すると沸点低下、防錆力低下、ゴム部品膨潤などBF、ブレーキ 部品の劣化を引き起こします。なお侵入した水はBFに溶け込んだ状態となります(水のままだと 氷点下では氷になり圧力が伝わらなくなるためです)。
では、水はどのようにBFに浸入するのでしょうか。BFはマスターシリンダ、パイプ、ホース、ブレーキ などの内部に密封され外気と遮断されています。従って、これらの部品を通しての水の侵入は ほとんどありません。 但し、マスターシリンダリザーバは外気と接触していますので、これを通して空気中に含まれた水 (特に梅雨などの温暖湿潤な季節が要注意)が侵入してきます。

最後は、ブレーキ部品による劣化です。ブレーキは年間数万回も繰り返し作動しますので、金属部品、 ゴムなどの摩耗、破損がどうしても生じてきます。これらのブレーキ部品の破片がBFに混じると、 液漏れ、ブレーキ効き不良の遠因となります。

では、点検、交換のポイントを、クルマの乗り方の違いによりまとめてみましょう。

まずは街乗りが主なクルマの点検・交換方法です。 ひと月毎あるいは3000km毎の日常点検および1年毎(最長車検毎)の定期点検を行いましょう。 マスターシリンダのリザーバを覗いてブレーキ液面レベル、BFの汚れを点検します。液面レベル が「MINI」以下の時はBFの漏れ、パッド摩耗などの点検を行ってからBFの交換をしてください。 くれぐれも点検もしないでBFの注ぎ足しだけはやらないようにしてください。BFの変色、異物混入 の場合はカップ、シールなどが破損している可能性がありますのでブレーキ点検、オーバーホール、 シール交換を行ってからBFの交換をしてください。 なお、2年毎(初回3年)の車検時には、キャリパのオーバーホール、シールの交換も同時に行って ださい。より安全性が高まります。

次は、降坂走行、海岸地域走行が主なクルマの場合です。街乗りより高温、多湿な環境ですので BFの劣化は早くなります。日常点検は街乗りと同じで結構ですが、定期点検、定期交換は1年 毎に必ず行うほうがよいでしょう。勿論オーバーホール、シール交換も同時に行ったほうが良い でしょう。

最後はサーキット走行の場合です。 サーキット走行するとBFはかなり高温になりますので熱劣化は促進されます。従って、早め早め の点検、交換が必要になってきます。液面レベル、汚れ、沸点(水分量と密接に関係)などの点検 をマメに行ってください。交換タイミングは走行条件によって大幅に違ってきますので一概に申し 上げることは出来ません。点検結果を見ながら皆さん自体で決めるのがベストでしょう。
なお、「サーキット走行後はエアー噛みがあるのでBFを交換した方が良い」というような話を聞 きますが、実際はエアー噛みではなくパッドの偏摩耗によるペダルの伸びが影響していることの 方が多いようです。このような場合は、先ずパッドの研磨をお勧めします。

BFは人間に例えれば血液です。いつもきれいにサラサラとしておきたいものです



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