ブレーキ雑学講座
ローターの塩害とメンテナンス その2
今回は、ローターを錆びさせないためのメンテナンス方法です。
まずは駐車の際です。長期間駐車する場合は、水洗いをしてから駐車しましょう。特に凍結防
止剤、泥などは洗い流してください。駐車は雨露の当たらない場所が望ましいですね。海岸
地域では、潮風は禁物です。潮風が当たる側のローターが錆びてしまったという話をよく聞
きます。なお、長期間駐車した後は、クルマを動かす前にローターの点検、整備も必ず行ってく
ださい。
次は、水洗いです。洗車時に同時に行うと好都合でしょう。ホイールの外から水を掛け、
ローターの凍結防止剤、泥などを洗い流します。ローター表面に付着した薄い皮膜は
防錆作用がありますので、金属ブラシなどでむやみに削り取らないほうが良いでしょう。
凍結防止剤の散布路・悪路走行後、長期間駐車前などに行ってください。なお、高圧洗浄機
を使う場合はキャリパの摺動部(ブーツ部)には直接水をかけないでください。水が摺動部
に入り、錆を生じ、ブレーキの作動不良に繋がるおそれがあります。
その次は、ペーパー研磨です。パッド交換時、長期間駐車後、レース走行後、降坂走行後など
に行うと良いでしょう。なお、メタル系パッドは、定期的に行うことをお勧めします。また鳴き
発生時の対策としても有効です。タイヤを取り外し、#80~120のサンドペーパーでローター
摺動部の錆び、摩耗粉、細かい傷などを落とします(詳細はMAINTENANCE参照)。
同時に、パッド表面も研磨するとよりベターです。
錆の程度(軽度、中度、重度)は、塩の種類(凍結防止剤、海水)、暴露時間、温度・湿度、
ローター表面の傷・荒れ、パッド材質などによって大きく違ってきますので、メンテナンス
方法はこうだ!とは一概に言い切れません。ローターを定期的に観察しながらその都度
判断するのがベストでしょう。
中度、重度の錆が生じてしまったら、ローター研磨あるいはローター交換をお勧めします。
まずは研磨です。ローター摺動面の錆、レコード盤状の傷などを削り取ってしまいます。
なお、ローターは許容最小厚さが決められていますので、事前に研磨代があるかどうかチェック
してください。ローター研磨機のあるディーラー、整備工場などに依頼してください。1枚数千円程度です。
最後の手段は交換です。そんなに高価ではありません。安全を考えれば安いものです。
ローターの錆、レコード盤状傷、寸法不良は、ブレーキの性能不良、鳴き、ジャダー、
ローターやパッドの早期摩耗などの原因となります。ほんのチョットした点検、メンテナンス
で、あなたのクルマを安全にしかも長持ちさせることが出来ます