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ABSとブレーキフィーリング その2

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ABSとブレーキフィーリング その2

今回は、純正パッドをスポーツパッドに交換した時のブレーキフィーリングです。 スポーツパッドは通常使用温度域(~200℃)から高温域(~500℃)、超高温域(~800℃)まで 摩擦係数が純正パッドに比べて高いのが一般的です。
そのため、前後どちらのパッドを交換するかによって効きレベル、前後のブレーキバランスが 違ってきます。その結果、ABSのフィーリングも微妙に違ってきます。
例えば、フロント、リアとも純正パッドより摩擦係数の高いスポーツパッドに換えた場合です。 効きレベルはアップしますが、前後バランスはそんなに変化しません。踏力と減速度の関係は 図Aのようになります。つまり、ABS作動開始の減速度は、図Jの純正パッドと同じですが、 より小さな踏力で作動することになります。雪道などの滑りやすい路面では、チョット踏んだだけで ABSが作動しますので、スポーツパッドは危ないと感じる方もおられますが、何ら問題はありません。 ABSは力一杯踏んでこそ、その能力を発揮します。

次は、フロントのみをスポーツパッドに換えた場合です。 効きは若干アップしますが、前後バランスは図Bのように若干前効きとなります。 この場合、ABS作動開始の減速度は大きく、踏力は若干小さくなります。 ブレーキフィーリングとしては踏ん張りが利くような感じとなります。 最後は、リアのみをスポーツパッドに換えた場合です。効きは、ほんの少しアップしますが、前後バランスは 図Cのように若干後効きとなります。この場合、ABS作動開始の減速度は小さく、踏力もやや小さくなります。 フィーリングとしては効き不足のような感じになります。
リアのロックが早まるため車両安定性はやや不利な傾向になりますが、ほとんど問題ありません。 なお、フロント、リアとも同じ銘柄のスポーツパッドに交換した場合でも、使用条件によっては必ずしも 常に図Aのようになるとは限りません。例えばサーキット走行などの高負荷ブレではフロントがリアより 高温になります。そのためフロントのみがフェード気味になり、前後バランスが図Cのように後効きとなり ブレーキフィーリングが変化してしまいます。また温度によって摩擦係数の変化が大きいスポーツパッド (いわゆるメタリック系パッド)の場合、ブレーキングのつど前後パッド温度が違ってきますので、 効きのみならず前後バランスがそのつど変化します。そのため、安心してブレーキングできないことになります。

以上は一般的な傾向をお話しました。
実際はクルマ、運転方法などによってABS作動状況も違ってきますのでブレーキフィーリングにもかなりの 違いが出てきます。しかしいずれの場合もABSの目的である停止距離の短縮、操縦性、車両安定性は確保 出来ていますので、安心して力一杯ガツンとブレーキングしてください。

見方: 直線と放物線の交点が原点より遠いほど、ABS作動開始の減速度は大きくなります。


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