面取り・溝加工・グリース塗布
鳴き止めに有効ないくつかの具体策です。
1. 面取加工
面取の目的
面取の無いパッドは、ブレーキをかけた時、ライニングの両端部がローターに角が当たり(フラットに接触しない状態)、「鳴き」が発生する場合があります。この場合は、面取加工が有効です。
面取量を大きくした場合の問題点
斜線部のように面取を大きく取ると次の問題が起こる場合があります。
- 面取した分だけ、ローターに当たる面積が小さくなるので、従来の踏力でブレーキをかけると、思っていたところで止まらず、踏み増しが必要になる。
- 容積が小さくなるので、温度上昇により、フェード現象が発生しやすくなる。
面取りのポイント
パッドの両端から約5mm巾位を面取し、ブレーキの効き、鳴きを確認します。
それでも鳴きが止まらない場合は、さらに5mm位大きくして、効き、鳴きを確認してください。
特殊な面取り
ライニング側に面取するのが一般的ですが、次のような方法もあります。
リーディング側のライニングのみ下図のようなR形状の面取をします。
磨耗紛の流出がいいので、鳴きの原因となる、粉が溜りにくいのが、メリットです。
2. 溝入れ加工
溝の効果
パッドに溝(スリット)を入れることで、振動周波数が変り、あるいは相殺され「鳴き」の発生を防止できる場合があります。また、水分、摩耗粉の除去も「鳴き」に対する有効な対策となります。
溝の働き
1)摩耗粉の除去
パッドとローターがこすり合う時に出る摩耗粉が、一カ所に集り焼付いて「鳴き」につながることがあります。溝はこの摩耗粉を制動部分から排除する働きをしています。
2)水分(雨等)の除去
パッド、ローターが濡れた状態では、摩擦係数が低下し、ブレーキの効きが悪くなることがあります、水分は溝を通して除去され、効きを正常な状態に保てます。
3)ガスの除去
坂道をブレーキングしながら下りてくると、ローターとパッドの温度が急激に上がり、250~250℃にもなるとフェード現象が発生し、パッド表面に分解ガスが付着し効きの急激な低下を招きます。
溝の働きで、このガスを逃してフェードの発生を抑える効果があります。
溝の加工
- 溝の幅:2~2.5mm
- 溝の深さ:新品パッドで最大4mmまで
3. 鳴き止めグリースの塗布要領
鳴き止めグリースは、ヘラ等を用い、薄く塗るのがポイントです。
ローターやパッドライニング部にグリースが付かないように注意してください。
グリースを塗る箇所
- ①パッドの裏板にシムが当る部分
- ②パッドの両端でトルクメンバーに支えられている部分
- ③シムが二枚重ねてある場合、シムとシムの間
- ④シムに折返しの「ツメ」がついている場合、折返しの内側
- ⑤ピストンの端面がパッドの裏板に当る部分(丸く当る部分)
- ⑥シリンダーボディーのパッドの抱える部分